スープカレーこさえてみた

2005 年 9 月 19 日。
すでに夜の帳が落ちた千歳空港の、土産物売店の片隅でひたすらに考え込む男がいた。
目の前の棚には「本日のスープカレーのスープ」が山と積まれ、大泉洋の等身大 POP が誇らしげに仁王立ちしている。


(買うべきか、買わざるべきか……)


「ハムレット」の名台詞をひねってみたところで、その悩みの対象は、レトルトのスープカレー。
様になるならないではなく、そこまで深く悩まんだろ普通、というツッコミが入ろうかというところではあるが、本人至って真剣である。


(せっかく、お土産を宅配便で送ったのになぁ……)


帰りの飛行機に持ち込む荷物を極力減らしたいがために、しこたま買い漁った土産物の類は 2 箱に分けて発送済みであった。今さら、ここでかさばって重い物を追加する愚は犯したくない。
そもそも、札幌市内をかけずり回って北海道限定の品物を買い集めている際に、「本日のスープカレーのスープ」はさんざん見かけていたのである。それを、そのたびに「今ここで買わなくてもいいだろ。スープカレーだし、食べたければどこかのお店で食べればいいし」と購買欲を退けていたのは当人である。
この期に及んで迷う理由はない。
しかし、しかしである。何かに対して「気になってしまうタイミング」というヤツが世の中にはある。確かに存在している。
ひとたびその状態に陥ってしまったら、諸々のループにはまってそうそう簡単には抜け出せない。
しかも、物欲のループの場合はさらにタチが悪い。悩むということは購入可能ということだ。買うことは充分問題ないが、必要性に於いてそれはどうなのか。今この時でなくても、例えば通販を使えば買えるのではないか。そういった微妙なラインのせめぎ合いが、脳内では展開されることになる。
たっぷり 5 分は同じ位置に立ちつくしていただろうか。
結局は、「どんな味なんだろう?」という興味が「持ち帰るのは面倒臭ぇなぁ」というものぐささを上回り、男は 2 食入りギフトパックを 3 つ鷲掴みにしたのであった。


本人以外にはわからないジレンマに激しく悩まされたこの男。
インターネットで名乗っているハンドル名を陣来霧といった――。

……とまあ、そんな感じに、帰りの便の出発直前まで、スープカレーの購入で迷っておりましたよ。
なぜあの時あれほどに悩んだのか、今となっては本人もさっぱり分からないわけですけれども。
買ってきた以上は食べねばならないわけです。
しかも、本人として旬なうちに。


本日なアレ


都合 6 食分を買ってきたのは、たつやさん葵木和寿さんという 2 人の「水曜どうでしょう」バカ(いわゆる「どうバカ」)の顔が脳裏をよぎったからなのですが、しかし、これを単なるお土産として良いものか。


否。


断じて否である。
だって、ちょっと考えてみるとだ。


「本日のスープカレーのスープ」を渡す
   ↓
それぞれのご家庭で召し上がる
   ↓
はい、終了!


なんかつまんない。
せっかくなので、ここは一つ、私が調理して振る舞うってのはいかがなものであろうか?


「あの〜、陣さん?」
なんだね、葵木くん?
「ちょうど、EdgeCast の収録をする予定だったんだけど、陣さんちでやってもいいですか?」
いいけど。私が出るって話はなかったよね?
「ないっす。カサイ氏がゲストです」
ん、なら無問題。


そんなこんなで、我が家にてスープカレーを作って食べさせることになりまして。
とりあえず、推奨のレシピである「チキンカレー」を確認してみました。
……え〜と、チキンレッグを焼いて、野菜を炒めて、カレースープをかける、と。


う〜ん。
個人的な主張としては、カレーは、具にカレーの味がなじんでいるのが美味しいのではないかと思うわけですよ。
この作り方では、具に味が染みる間がないではありませんか。
ここは工夫のしどころですな!


そこで、前日にチキンとジャガイモとニンジンを下ごしらえしておくことにしました。
やることは至ってシンプル。
具材を蒸して、ポリ袋に入れて、カレースープの一部を入れて漬け込んでおく。


蒸されるチキン
(蒸される前のチキン)


蒸されたチキン
(いい感じに蒸されてしまったチキン)


野菜も蒸して、カレースープ漬けにする
(野菜もそれぞれ時間を調節して蒸して、カレースープに漬け込んでおくわけです)


おし、完了。
こうして漬け込まれた具材は、冷蔵庫の中で一晩寝かせておきました。


そして迎えた今日。
EdgeCast Vol.4 の……え〜……なんと言いますか、ツッコミ役不在のぐだぐだなトークを聴きながら、黙々と調理してました。
ええ、背後に流れている「カチャカチャ」とか「ジュ〜」とかいう音は、私が調理をしていた音です。


用意した具材は、カレースープ漬けにしたもの以外に、ナスとアスパラ、ピーマン。
これを油でざっくり炒めて、上からカレースープに浸った具材を追加し、さらにスープを上から足して軽く煮て完成。
もちろん、スープに付いていたスパイスもちゃんと足してあります。


調理が完了したスープカレー&ごはん


見た目はちょっとアレな仕上がり


具材が少し煮崩れ気味ですが、意図したように味が馴染んだスープカレーができあがりました。
味の方は、やっぱりちょっと辛さが足りないかも。
激辛が食べたいわけではないのですが、ある程度はピリッとした方が、「カレーを食べてるなぁ」という実感があっていいように思います。


う〜ん、スープカレーか。
一からスープを作って、オリジナルの味に挑戦してみるのも良いかも知れないなぁ。



デザートには、昨日書いた、いただきもののブドウを冷やしていただきました。
さっぱりした酸味と甘味のバランスが取れていて、おいしかったです〜!(→あおしまさん)

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Comments
葵木和寿 | 2005/09/25 22:32
うん、ブドウも美味しかった。
あおしまさんありがとうございます。
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